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疲れすぎて眠れない

仕事が忙しくて疲れた、日中にたくさん動き回って疲れた、今日はよく眠れそうだ。
こんな経験がある方も多いかと思います。
体が疲れたからその分しっかり睡眠をとって回復する。
とても自然な流れです。
ただ、「疲れているのに眠れない」
こんな睡眠の相談を受けることもあります。
「疲れすぎている」
これが不眠の原因であることも珍しくありません。

漢方の古典【金匱要略 血痺虚労編】にもこんな条文があります
『虚労、虚煩不得眠、酸棗仁湯主之』
(虚労、虚煩して眠ることを得ざるは、酸棗仁湯之を主る)
訳:心身の疲れがあり、気持ちが悶々としたり心身に煩わしさを覚えて熟睡できない場合には酸棗仁湯を用いて治療するべきである

疲れすぎによる不眠について書かれた条文です。
眠るのにも一定の体力が必要です。
適度な疲労であればそこからスムーズな睡眠に入ってぐっすり眠ることができます。
ただ、疲れすぎてしまうと体が危機感を覚えて、逆に頑張ろうとしてしまいます。
仮性の興奮状態になってしまいます。
この興奮状態が続いてしまうことで睡眠が浅くなったり、寝つきが悪くなります。

これを漢方で表現すると虚熱と言います。体を滋養できていない状態で、眠れないだけでなく手足や体が熱く感じたり、不快な寝汗をかくようになったり、夜中に喉や口が渇くといった症状が出ることもあります。

疲れている、でも眠れないと感じたら、食事が疎かになって栄養不足になっていないか、眠れないからとスマホやパソコンを見る頻度が多くなっていないか、まずは生活を見直して確認してみましょう。栄養を摂って体を滋養する、体への負担を減らして体力を温存する、これも大切です。それでも間に合わない時には漢方で体を滋養して興奮状態を鎮めてあげましょう。

疲れすぎているのはそれだけ頑張っているということ。でも眠れないのは体からのSOSサイン。時には頑張りもほどほどに体を労ってあげましょうね。

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石井正久/マサ

上毛電鉄「中央前橋駅」から徒歩1分にある小谷薬局の4代目です。 「漢方で改善できる症状を確実に良くしていく」をモットーに子宝・婦人病・気象病を中心に漢方カウンセリングをしています。オーダーメイドの煎じ漢方もやっています。薬剤師。ラグビー・筋トレ・甘いもの好き。
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