NHKスペシャル番組「人体」において、
現代科学の新たな研究成果が紹介されていました。
これまでの「人体観」では、「脳が司令塔であり、他の臓器はそれに従う」
とされていましたが、新発見として、腎臓が身体に情報を発信しながら、
他の臓器のさまざまな働きをコントロールしているという驚きの事実が明らかにされました。
キーワードとしては、
【1】腎臓は血液の管理者、血管運動の調節者である
【2】腎臓は身体のネットワークの要である
【3】腎臓は寿命を決める
漢方でも「腎」という考えがあります。
「腎臓」と「腎」は全く同じというわけではありませんが、
腎の働きは身体の要であると考えられてきました。
中国の最古の医学書と言われる「黄帝内経」や
その考えを継承している現代中医学では、腎の働きは以下のように考えられています。
①腎は生殖・成長・発育・老化を主る
②腎は精を蔵し、血を生じる
③腎の陰陽は他臓器の陰陽の源である
こういった働きから腎は生命のコントロールをしていると考えられています。
漢方ではこの腎の働きが低下した状態を「腎虚(じんきょ)」と言い、
腎虚を改善する方法を「補腎(ほじん)」と言います。
年をとれば上記①~③の働きは自然と衰えていきます。
これは「老化」であり「病態(病気)」ではありませんが、
この老化して衰えた状態=腎虚と考えられることもあります。
老化による腎虚と呼ばれるもの、
例えば加齢と共に筋肉が落ちた、視力が下がった、疲れやすくなった、
若しくは加齢そのもの、などは不可逆的(元には戻らない)なものかもしれません。
こういった場合は、いくら漢方で補腎をしても効果は期待できないかもしれません。
しかし、一時的に腎の働きが落ちたのならば、
それは可逆的なものなので、補腎をすれば改善が見込めます。
長生きの為に腎の①の働きを助ける目的で、
年をとったらまず補腎、元気で長生きのためにはまず補腎と考えられることがありますが
その効果はどれほどのものなのか?
本当に効果があるのか?
ちょっと疑問に思うところもありますね。
何千年も前からある漢方でも腎を生命のコントロールとする考えがあり、
最新の現代科学でも腎臓が寿命のカギを握っていると発見されたこの共通点は
偶然なのか、必然なのか・・・
昔の人々は色々な道具に恵まれていなかった分、
現代の我々には見えないものが見えていたのかもしれませんね。
(第六感できなものではなく、それだけよく観察していたという意味です)
前橋の漢方 小谷薬局