疲労感、倦怠感、関節痛、筋肉痛、咳、喀痰、息切れ、胸痛、脱毛、記憶障害、集中力低下、不眠、頭痛、抑うつ、嗅覚障害、味覚障害、動悸、下痢、腹痛、睡眠障害、筋力低下。。。
新型コロナウイルスの後遺症とされる症状は多岐に渡ります。
コロナウイルス感染後に今まで味わったことのない気持ちの落ち込みを感じる。
そんな症状に悩める方の相談でした。
夏の暑さも少し落ち着きを見せ始めた初秋。
新型コロナウイルスに罹患されました。
その後はホテルでの療養がスタート。
感染初期は高熱が続き、熱がある間は食欲もなく元気もない状態が続きました。
その熱も3日ほどで落ち着き、そこから食欲も出てきて食べれるように。
体の違和感を感じたのは一週間のホテル療養がもうすぐ終わるという頃。
「人と話したくない、人と関わりたくない」
気持ちが落ち込み、人と話すのがとても億劫に感じるようになり、口数が減りました。
様子がおかしい。
毎日連絡をとっていたご家族もすぐにその異変に気づかれました。
もともとは忙しくバリバリと仕事をされていた方。
もちろん相応のストレスもあります。
ただここまでの気持ちの落ち込みを感じたことはありません。
そして今まで経験したことのない倦怠感も同時に感じるように。
すぐに横になりたい。
また寝る前になると今度はイライラするようになり、家族との接触も避けるように。
もしかしたら心の病なのか。
心療内科の受診も考えられている中で、漢方相談にお越しになりました。
「心身一如」
肉体の状態は精神面にも影響を及ぼし、
精神の状態は肉体面にも影響を及ぼします。
体と心の状態は表裏であり切っても切り離せないという意味の言葉です。
気持ちの落ち込み。
精神的な病態や心の病を考えるのが自然な流れであると思います。
ただ、漢方でアプローチできるのは肉体の病態のみです。
この方の気持ちの落ち込みはコロナウイルスに感染してから発症した症状。
体に何かしらの病態があるために、気持ちに影響している。
このように考え、お話を伺いました。
気になった症状は、
倦怠感がとても強いこと。
そして食後に気持ち悪さを感じるという胃腸症状があること。
体とウイルスとの戦争。
そのダメージは恐らくご本人が自覚しているよりも根が深い。
胃腸に不調が現れていることから、病位は少陽。
そしてこの強い倦怠感は虚労。
体がここまでダメージを負っていれば気持ちが安定しなくなるのは当然。
今は体が回復を最優先するために倦怠感が激しく、人と話す気力も湧かない。
気が上向かないので、気持ちも沈んでしまう。
まずは体を立て直す。
体調が上向くと共に気持ちも上向くはず。
このように考えました。
使うのは、ウイルスとの戦いでの燻った戦火を鎮めながら、
同時に体を滋養する漢方。
まずは3日分お渡ししました。
反応は上々でした。
「倦怠感がだいぶ取れました!」
この言葉を聞いて安心しました。
案の定、倦怠感の改善と一緒に気持ちも上向きに。
体格もよくバリバリ仕事をこなしていた方。
この回復力を持ってすればあと数日の服用で大丈夫だと考え、
あと4日分の漢方をお渡しして、
その後の調子が安定していれば廃薬としました。
心の不調。体の不調。
これはコインの表と裏。
切っても切り離せない関係。
だからこそ体を良くすることで心が安定することがあります。
ウイルスとの戦いによる体のダメージ。
これが心に影響することも多いのだと思います。
そしてダメージが回復しない状態が続くと体も心も不安定になり、
不定愁訴のように不調が増えていく。
こう言った流れが後遺症に繋がってしまうのかもしれません。
傷ついた体の回復。
これは漢方の守備範囲であり、得手するものでもあります。
コロナウイルス感染後の不調が続いている方は、
一度、漢方専門の医療機関に相談してみてくださいね。

石井正久/マサ

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