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血虚と貧血は似てるけど違うもの

こんにちは。石井です。
貧血と血虚。
血が貧しいと書いて「貧血」
血が虚ろと書いて「血虚」
どちらも血が不足した状態を示す言葉です。
貧血が西洋医学でも診断名であり、
血虚は東洋医学で病態を指す言葉です。
同じことを言っているようでありながら、
ここには違いがあるんです。

貧血とは

貧血の定義とは、
血液中のヘモグロビン濃度が減少している状態。
WHO基準では、成人男子 は13g/dl未満、成人女子や小児は12g/dl未満、
妊婦や幼児は11g/dl未満と定められています。
鉄欠乏性貧血が多いですが、
溶結性貧血や巨赤芽球性貧血などその種類は様々です。
『氷食症』
氷がひたすら食べたくなってしまう症状です。
原因は分かっていませんが、鉄欠乏性貧血の方に見られることが多い症状です。

【貧血の症状】
動悸どうき
息切れ
だるさ
頭が重くなる
疲れやすくなる
味覚がおかしくなる
顔色が悪くなる
胸の痛みがある
爪がもろくなる
口角炎や舌炎
飲み込みづらくなる

血虚とは

血虚とは、
血の濡養が不足した病態。
血が身体を滋養できていない状態です。
そもそも漢方が誕生したころには「検査値」という概念がなかったですからね。
だから血虚と判断するには、
血虚を示す所見があるかどうかで判断します。

【血虚の所見】
顔色にツヤがない
唇が淡く白っぽい色
疲れやすくなる
爪がもろい
頭がふらつく
目がかすむ
視力減退
目の異物感
筋肉の引きつり
筋肉がぴくぴくと痙攣する
手足のしびれ
動悸
不眠
夢をよく見る
驚きやすい
生理周期が遅れる
経血量が少ない
生理が来ない
舌の色が淡い紅色

このうち一つでも当てはまれば血虚という訳ではないです。
一つの症状だけを考えるとその原因は色々考えられるので、
いくつかの状態を確認して、血虚が原因と考えられる所見が見られれば
血虚と考えます。

ちなみに血虚の原因は、
①出血による血の消耗
②血の材料となる食事の不足
③脾胃(消化器系)の不調による血の生成不足
④寝不足や慢性病などによる血の消耗

貧血と血虚の違い

貧血と血虚ではその症状も共通するものが多いです。
血が睡眠に関わると考えるところ(不養心神)と、
目に関わると考えるところ(不養目)は漢方独特の考えかもしれません。
貧血と診断されていたとしても、すぐに血虚とは判断しません。
何故なら数値的にヘモグロビン濃度が不足していても、
全身が滋養できている状態であるならは、それは血虚とは考えないからです。
貧血であっても血虚ではないということ。
貧血は「数値」
血虚は「状態」
ここで判断します。
どちらも似ているものですがここが違います。
もちろん貧血の方が血虚であることも多いです。
でも絶対ではありません。

血虚の所見がいくつか当てはまる方は、血虚かもしれません。
貧血の診断があることは漢方的には目安にはなりますが、
絶対的な指標にはなりません。
気になる方は、漢方の専門家に相談してみて下さいね。

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石井正久/マサ

上毛電鉄「中央前橋駅」から徒歩1分にある小谷薬局の4代目です。 「漢方で改善できる症状を確実に良くしていく」をモットーに子宝・婦人病・気象病を中心に漢方カウンセリングをしています。オーダーメイドの煎じ漢方もやっています。薬剤師。ラグビー・筋トレ・甘いもの好き。
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