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〇〇湯とつく漢方はお湯で飲んだ方がいい?

こんにちは。石井です。
漢方薬は飲み方一つで効果の出方が変わります。
〇〇湯とつく漢方はお湯で飲んだ方が効果が出やすい。
こんな話を耳にすることがあります。
これはどうなのでしょうか?

漢方の剤形

一言に漢方薬と言っても、処方によって本来の剤形が異なります。
今はエキス顆粒(顆粒状になった漢方)が多いので、
剤形の違いはなかなか分かりにくいです。
でもその処方名から分かりますよ。
「〇〇湯」
葛根湯、小青竜湯など
これは生薬を組み合わせて煎じたもの。
「〇〇散」
当帰芍薬散、加味逍遙散など
生薬をすり潰して粉末状にして組み合わせたもの。
「〇〇丸」
桂枝茯苓丸、八味地黄丸など
粉末状の生薬を蜂蜜などで練り固めて丸状にしたもの。

ちなみに「〇〇料」
桂枝茯苓丸料や八味地黄丸料など
これは本来は〇〇散や〇〇丸のだった処方を煎じたもの。

〇〇湯はお湯で飲んだ方が良いはホント?

〇〇湯は煎じたもの。
煎じるとは生薬を組み合わせて、
40分ほどグツグツ煮出すこと。
出来上がった漢方は温かいというか熱々です。
40分も煮出しているのだからそりゃそうだ。
だから〇〇湯とつく処方は煎じる剤形の漢方
エキス顆粒や液体などの剤形になっていたら
お湯で飲むのが本来のカタチ。
本来の剤形の方が効果が出やすい。
こうなったのだと思います。

でもこれは半分当たりで半分ハズレのようなもの。
処方によってはお湯で飲まない方が効果的なものもあるからです。

お湯で飲む漢方、水で飲む漢方

〇〇湯という処方名だけで判断するよりも、
「何をする漢方なのか」
処方の目的で判断した方が分かりやすいです。

お湯で飲んだ方が効果的な漢方
『発表する(身体を温め発汗と共に邪を追い出す)漢方』
・葛根湯(かっこんとう)
・麻黄湯(まおうとう)
・小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
・桂枝湯(けいしとう)など
『身体を温める漢方』
・人参湯(にんじんとう)
・大建中湯(だいけんちゅうとう)
・呉茱萸湯(ごしゅゆとう)
・五積散(ごしゃくさん)
・当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)など
これらは温めることが処方の目的の一つなので、
お湯の温かさがその効果を手助けしてくれます。
だからお湯で飲む(お湯に溶かして飲む)のが、
オススメの漢方。

水で飲んだ方が効果的な漢方
『身体の熱をとる漢方』
・黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
・三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)
・銀翹散(ぎんぎょうさん)
これらは熱をとることが目的の漢方なので、
水で飲んだ方が効果的です。
※小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)
悪阻(つわり)に使われることが多い漢方です。
お湯で服用すると香りが立ってしまい、
逆に気持ち悪くなってしまうことがあるので、
香りだ立たないように水での服用をオススメしています。

ここでの水はキンキンに冷えた氷水じゃないですよ。
極端に冷やしすぎても、逆に身体に負担になります。
漢方が作られた時代の一番冷たい水は井戸水くらいのもの。
水と言っても水道水の温度くらいがいいですよ。

「何をする漢方かなんて分からない」
漢方を勉強していないと分からないですよね。
今回例として出した漢方も数ある処方の一部。
漢方処方はまだまだ沢山あります。
よく分からない場合は「ぬるま湯」がベター。
温めも冷やしもしない温度で。
これが一番効果の邪魔しないと思います。
漢方を渡された時や買った時に
何をする漢方なのか確認するといいですよ。

漢方は飲み方一つで効果が出やすくなりますので、
服用する時は飲み方も気にしてみて下さいね☺︎

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石井正久/マサ

上毛電鉄「中央前橋駅」から徒歩1分にある小谷薬局の4代目です。 「漢方で改善できる症状を確実に良くしていく」をモットーに子宝・婦人病・気象病を中心に漢方カウンセリングをしています。オーダーメイドの煎じ漢方もやっています。薬剤師。ラグビー・筋トレ・甘いもの好き。
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