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気象病頭痛と五苓散〜前編〜

「気象病頭痛」
低気圧が近づくことで発症する頭痛です。
こういった症状で悩まれている方の相談を受けることは少なくありません。
自分では気圧が原因だと気付かずに悩まれている方も多いのではないかと思います。
ひと昔前までは気象病という言葉の認知度はあまり高くありませんでした。
しかし最近では、
「天気(気圧)の変化などによる頭痛に」
「低気圧などで不調を感じる方に」
こういったキャッチコピーと共に販売されている気象病頭痛用の薬もあるように
低気圧が体に影響を及ぼす、不調の原因になることの認知度も高まり、
市民権を得られてきたようにも感じます。
この気象病頭痛用に販売されている薬は鎮痛剤ではなく、
「五苓散」という漢方処方製剤です。

五苓散とは?

五苓散とは漢方古典「傷寒論」を原典とする漢方処方です。
沢瀉(たくしゃ)・猪苓(ちょれい)・茯苓(ぶくりょう)・白朮(びゃくじゅつ)・桂枝(けいし)
この5味の生薬で構成されます。
桂枝以外の4味は全て「水」の調節に関わる生薬。
つまりこの五苓散は水の調節に使われることが多い漢方ということです。
例えば浮腫み。
これは皮下に水が偏在している状態。
例えば下痢。
これは腸に水が偏在している状態。
こうした体の中での水の偏りを整えて、不要な水を膀胱に導く。
このように体の内部の水の偏りを整える働きがあります。
服用することで尿量が増えることから利尿剤のような役割があると思われがちですが、
尿の排泄を促している訳ではなく、あくまで体の内部の偏った水を膀胱に導くことで
結果として尿量が増えます。

なぜ五苓散が気象病頭痛に効くのか?

五苓散は水を調節する漢方。
そして気象病頭痛に効果を現す。
この現実があります。
ここから考えられることは気象病頭痛の発生には「水」が関わっているということ。
たまたま五苓散証の人に効く訳ではありません。
効くにはちゃんと理由があります。
ここを紐解くには気圧の変化が体にどのような影響を及ぼして、
頭痛という症状に繋がるのか。
ここを考える必要があります。

後編へ続く

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石井正久/マサ

上毛電鉄「中央前橋駅」から徒歩1分にある小谷薬局の4代目です。 「漢方で改善できる症状を確実に良くしていく」をモットーに子宝・婦人病・気象病を中心に漢方カウンセリングをしています。オーダーメイドの煎じ漢方もやっています。薬剤師。ラグビー・筋トレ・甘いもの好き。
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